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Sun Fire ハイエンドシステムの動的再構成ソフトウェア

Sun Fire ハイエンドシステムで実行される動的再構成ソフトウェアを使用すると、コンピュータを停止せずに、Solaris オペレーティング環境を実行するライブドメインのハードウェア構成を変更できます。

DR 操作は、SC または個々のドメインから実行できます。

DR 操作は、SC から addboard(1M)、moveboard(1M)、deleteboard(1M)、および rcfgadm(1M) などの SMS コマンドを使用して実行できます。

動的再構成 (DR) ソフトウェアを使用すると、システムを停止せずにシステムボードをホットスワップすることもできます。これは、障害の発生したシステムボードの資源の構成をドメインから解除して、システムボードをシステムから切り離せるようにするために使用されます。修理されたボードまたは交換用ボードは、Solaris オペレーティング環境の実行中にドメインに挿入できます。

動的再構成 (DR) ソフトウェアは、ボードが装着されると、その資源を構成してドメインに組み込みます。DR 機能を使用してシステムボードを追加または削除した場合、そのボードは常に既存の構成状態のままになります。

システムボードには次のものがあります。


システムボードスロットと論理ドメイン

Sun Fire ハイエンドシステムのドメイン構成は、SC に格納されているプラットフォーム構成データベース (PCD) 内のドメイン構成によって決定されます。PCD は、システムボードスロットを論理的に複数のドメインに分割する方法を指定します。したがって、構成には空のスロットと装着済みのスロットが含まれます。

物理ドメインは論理ドメインによって判別されます。論理ドメインとは、ドメインに属する一連のスロットをいいます。物理ドメインとは、物理的に相互接続されたボード群のことです。スロットは、物理ドメインの一部にならずに論理ドメインの一部になれます。

特定のドメインで使用可能なスロットの数は、システムコントローラで保持される使用可能構成要素リストによって指定されます。スロットをドメインに割り当てるか、使用可能にしてからでないと、cfgadm(1M) コマンドを使用してその状態を変更することはできません。

ドメインに割り当てられたスロットはそのドメインでは表示されますが、他のドメインからは使用できず、かつ表示されません。逆に、スロットを別のドメインに割り当てて接続するには、あらかじめそのスロットを元のドメインから割り当て解除し、切り離しておく必要があります。

ドメインが起動した後、システムボードと空のスロットを論理ドメインに割り当てるか、または割り当てを解除できます。ただし、オペレーティングシステムから要求があるまでは、これらスロットを物理ドメインの一部にはできません。

どのドメインにも割り当てられないシステムボードスロットは、すべてのドメインで使用できます。プラットフォーム管理者はこれらのボードをドメインに割り当てることができます。ただし、使用可能構成要素リストを SC に設定すると、適切な特権を持つユーザーが、使用可能なボードをドメインに割り当てることができます。


DR 管理モデル

使用可能構成要素リストは、ユーザー名とグループ識別子に基づき、実行できる管理作業を決定します。たとえば、プラットフォーム管理者は、ドメインでのボードの割り当てと割り当て解除のほか、ボードの追加、削除、または移動を行うことができます。ただし、ドメイン管理者やドメイン設定者は、ドメインでのボードの割り当てまたは割り当て解除を行うことはできません。


SC 状態モデル

Sun Fire ハイエンドシステムの SC では、ボードは次の 4 つの状態のいずれかにあります。unavailable (使用不可)、available (使用可能)、assigned (割り当て済み)、または active (アクティブ)。showboards(1M) コマンドを使用すると、特定のボードの状態を表示できます。ただし、指定したドメインに対する適切な特権が必要です。ドメイン管理者は、unavailable (使用不可) の状態のボードを表示できません。プラットフォーム管理者だけがシステムのすべてのボードを表示できます。

SC 上のボードの状態を示す名前とその説明を以下に示します。SC 上のボードの状態は、ドメイン上のボードの状態とは異なります。

unavailable (使用不可)

ボードはドメインに対して使用不可 (unavailable) です。つまり、指定されたドメインの使用可能構成要素リストにこのボードは追加されていないか、または現在別のドメインに割り当てられています。使用可能構成要素リストにないボードはドメインには表示されません。unavailable 状態のボードは、指定されたドメインの一部とはみなされません。

available (使用可能)

ボードはドメインに追加することが可能な (available) な状態です。つまり、ボードはドメインの使用可能構成要素リストに含まれています。ボードは任意の数のドメインに使用できます。available 状態のボードは、論理ドメインの一部とみなされます。

assigned (割り当て済み)

ボードはドメインに割り当て済み (assigned) です。つまり、ボードはそのドメインの使用可能構成要素リストにあり、かつ他のドメインには使用不可の状態です。assigned 状態のボードは、物理ドメインの一部とみなされます。

active (アクティブ)

ボードは接続されているか、またはボードは接続および構成されて Solaris オペレーティング環境に組み込まれていて、オペレーティングシステムで使用できる状態にあります。active 状態のボードは、物理ドメインの一部とみなされます。


入出力ボードでの DR

入出力デバイスを搭載したシステムボードを追加または削除するときは、注意が必要です。入出力デバイスを搭載したボードを削除するには、まずそのデバイスをすべて閉じ、そのファイルシステムをすべてマウント解除する必要があります。

入出力デバイスを搭載したボードをドメインから一時的に削除し、再度追加してから入出力デバイスを搭載した別のボードを追加する場合、再構成は不要です。この場合、ボードデバイスへのデバイスパスはそのままです。ただし、入出力デバイスを搭載した別のボードを追加してから、最初のボードを元に戻した場合は、最初のボード上のデバイスへのパスが変更されるため、再構成が必要です。


自動 DR

自動 DR を使用すると、ユーザーの介入なしにアプリケーションが自動的に DR 操作を実行できます。この機能は、Reconfiguration Coordination Manager (RCM) と sysevent システムイベント機能を含む拡張 DR フレームワークによって提供されます。RCM を使用すると、アプリケーション固有のロード可能なモジュールでコールバックを登録できます。これらのコールバックは、DR 操作前の準備タスク、DR 操作中のエラー回復、または DR 操作後のクリーンアップなどの操作を実行します。

システムイベントフレームワークでは、アプリケーションは事前にシステムイベントを登録しておくことで、これらについて通知を受け取ることができます。自動 DR フレームワークは RCM およびシステムイベント機能を使って、アプリケーションが、リソースの構成解除前に自動的にそれらを解放したり、新しいリソースがドメインに構成されたときに自動的に獲得できるようにします。

自動 DR フレームワークは、cfgadm(1M) コマンドを使用してドメインからローカルに、または SC から使用できます。ドメインでローカルに開始された自動 DR 操作はローカル自動 DR と呼ばれ、SC から開始された自動 DR 操作はグローバル自動 DR と呼ばれます。グローバル自動 DR 操作には、あるドメインから別のドメインへのシステムボードの移動、ホットスワップされたボードのドメインへの組み込み、およびドメインからのシステムボードの削除が含まれます。


詳細について

動的再構成ソフトウェアの詳細が記載されたマニュアルについては、動的再構成 (DR) ソフトウェアに関する情報を参照してください。