第3章 |
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Sun Fire ハイエンドシステムのシステム管理者の多くは、Sun Enterprise 10000 (Starfire) システムでかなりの業務経験を積んでこられた方々です。この章では、これらの 2 種類のシステムにおけるソフトウェアの主な違いについて簡単に説明します。
Sun Enterprise 10000 システムは、Sun Fire ハイエンドシステムの前身であり、これら 2 つのシステムファミリは多くの構造上の特徴を共有しています。最も重要なのは、どちらのシステムも単一シャーシプラットフォームを特徴としている点です。同じ物理シャーシ内に十分なプロセッサ、メモリー、および入出力 (I/O) チャネルが搭載されており、個別に構成された多数のドメインが、完全に独立したアプリケーションをそれぞれの Solaris オペレーティング環境 (ドメインごとのインスタンス) で実行できるようになっています。
Sun Enterprise 10000 システムおよび Sun Fire ハイエンドシステムでは、ソフトウェアがプラットフォーム全体を監視し、制御できるようにしています。
Sun Enterprise 10000 システムソフトウェアは、System Service Processor (SSP) ソフトウェアと呼ばれています。SSP ソフトウェアは、物理的に独立した Sun ワークステーション上の Solaris オペレーティング環境で実行されます。
Sun Fire ハイエンドシステムソフトウェアは、System Management Services (SMS) ソフトウェアと呼ばれ、システムコントローラ (SC) と呼ばれる単一ボードコンピュータで実行されます。2 つ目のシステムコントローラもそのシャーシ内に構成されるため、メイン SC で問題が発生した場合は、スペア SC にプラットフォームの監視および管理操作をフェイルオーバーできます。
SSP ソフトウェアに習熟したシステム管理者の方であれば、SMS ソフトウェアをほぼ問題なく使用できます。どちらもよく似たコマンド行インタフェース (CLI) コマンドを使用してプラットフォーム管理を実行します。SMS ソフトウェアは、SSP ソフトウェアに比べていくつか優れた点があります。
SSP ソフトウェアと異なり、SMS には SSP の hostview(1M) グラフィカルユーザーインタフェース (GUI) に相当するものはありません。Sun Fire ハイエンドシステムの監視と管理を GUI で実行するには、Sun Management Center ソフトウェアを使用してください。Sun Management Center ソフトウェアの詳細は、第 7 章を参照してください。
Sun Fire ハイエンドシステムコントローラは、Sun Fire ハイエンドシステムのシャーシ内に収容されているため、SSP の制御ボードに相当するものはありません。ハードウェアへのアクセスは、SSP では制御ボードで行われますが、Sun Fire ハイエンドシステムでは 12C、コンソール、および PCI バスにより処理されます。
Sun Enterprise 10000 では、パブリックネットワークを使用して DR と コンソールの通信を行うことができました。Sun Fire ハイエンドシステムでは、管理ネットワークのハードウェアとソフトウェアが、SC と各ドメイン間の通信を制御します。管理ネットワークは閉じたネットワークであり、ユーザーがこれに介入することはありません。ユーザーが関与する必要はありませんが、Sun Fire ハイエンドシステムを稼働するにあたっては、最初に管理ネットワークが使用できる IP アドレスの範囲を設定しておく必要があります。この手順を含むチェックリストについては、Sun Fire ハイエンドシステムに付属の『Sun Fire 15K/12K システムサイト計画の手引き』を参照してください。
Sun Fire ハイエンドシステムは、サイズが大きくなりパフォーマンスが向上したことに加え、より大きな帯域幅のセンタープレーン/バスアーキテクチャーである Sun Fireplane interconnect を特徴とする新しいシステムアーキテクチャーを採用しています。このため、デバイスと接続点を指定する命名法は、Sun Enterprise 10000 システムの場合と異なります。この命名法の変更は、動的再構成と Sun Management Center の操作方法にも影響します。
Sun Fire ハイエンドシステムは、ドメイン間のセキュリティーを向上させるために、コミュニティー分離モデルを採用しています。このセキュリティーモデルは、Sun Enterprise 10000 システムで採用されているものとは異なります。コミュニティー分離の詳細は、『System Management Services (SMS) 管理者マニュアル』を参照してください。
Sun Fire ハイエンドシステムドメインとシステムコントローラでは、他の Sun ハードウェアプラットフォームと同じ Solaris オペレーティング環境を運用します。このように共通の環境を使うことは、既存の Sun ネットワークに Sun Fire ハイエンドシステムを追加するユーザーや、ワークステーションや他のシステムで Solaris オペレーティング環境をすでに利用しているシステム管理者にとって好都合です。
Solaris ソフトウェアリリースには、ドメイン側の動的再構成および管理ネットワークソフトウェアコンポーネントなど、Sun Fire ハイエンドシステムソフトウェアコマンド、ドライバ、およびサポートファイルが含まれています。
Solaris オペレーティング環境のインストールマニュアルは改訂され、Sun Fire ハイエンドシステムや Sun Enterprise 10000 システムなどの複数のドメインをサポートするプラットフォームにも対応するようになりました。したがって、『ハードウェアマニュアル』に記載の Sun Enterprise 10000 システムに関する個々のインストール手順は現在、Solaris のインストールマニュアルと『System Management Services (SMS) 管理者マニュアル』に記載されています。
動的再構成ソフトウェアを使用すると、システムボードやプロセッサなどの物理資源を、オペレーティングドメインとの間で移動、削除、追加できます。SMS ソフトウェアの操作と異なり、DR 操作は、プラットフォームのシステムコントローラで複数のドメインに対して実行することも、個々のドメインに直接ログオンして実行することもできます。
Sun Fire ハイエンドシステムでの動的再構成は、Sun Enterprise 10000 システムの場合よりも強力で効率的ですが、基本的な概念と操作はほぼ同じです。
システムコントローラにログオンして操作を実行する場合、2 つのシステム間で構文は多少異なります。ただし、個々のドメインにログオンして実行する DR 操作は同じです。
Sun Fire ハイエンドシステムの Sun Management Center ソフトウェアは、Sun Enterprise 10000 システムの Sun Management Center ソフトウェアと非常によく似ています。ただし、次に示す 2 つの重要な違いがあります。
2 つのシステムの物理的なアーキテクチャは基本的に異なるため、Sun Management Center では、多くのハードウェアコンポーネントについて異なる属性と値を報告します。これらの属性は、複数の表に別々の名前で表示されます。これらの属性に対するアラームの規則名も異なります。
両方のシステムに備わったプラットフォーム監視機能に加えて、Sun Fire ハイエンドシステムの Sun Management Center では、動的再構成などのプラットフォーム管理操作を実行できます。これらの操作については、『Sun Management Center Sun Fire 15K/12K システムのための追補マニュアル』で説明しています。
Sun Enterprise 10000 システムでは、Inter-Domain Networking (IDN) および Alternate Pathing (AP) の各ソフトウェアを使用できましたが、これらは現行リリースの Sun Fire ハイエンドシステムには存在しません。
Sun Enterprise 10000 システムソフトウェアの AP 機能は、Solaris オペレーティング環境に統合されました。
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