第6章 |
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Sun Fire ハイエンドシステムは、CPU/メモリーボード上に複数のプロセッサ (CPU) を搭載して構成されています。これらのボードは、初期システム構成の一部、またはアドオンコンポーネントとしてすでに購入いただいています。ボード上の CPU の使用権は、初期購入価格に含まれています。
Capacity on Demand (COD) オプションは、必要になった時点で代金を支払って使用できる、予備の処理リソースを提供します。COD オプションでは、ライセンスのない COD CPU/メモリーボードを購入してシステムに取り付けます。各 COD CPU/メモリーボードには 4 つの CPU が搭載されており、これらの CPU が使用可能な処理リソースとみなされます。しかし、このボードに対する COD RTU (right-to-use) ライセンスも購入するまで、COD CPU を使用する権利はありません。COD RTU ライセンスを購入すると、ライセンスキーを受け取り、ライセンスに応じた個数の COD プロセッサが使用できるようになります。
SMS ソフトウェアに含まれている COD コマンドを使用して、COD 資源の割り当て、起動、監視を行います。
COD オプション を使用して、Sun Fire 15K/12K システムに取り付けた COD CPU/メモリーボードに CPU リソースを追加できます。Sun Fire ハイエンドシステムは、最小数の標準 (アクティブ) CPU/メモリーボード構成で出荷されますが、標準 CPU/メモリーボードと COD CPU/メモリーボードの両方を混在させて、最大で 18 個まで取り付けることができます。システムの各ドメインには、アクティブな CPU が少なくとも 1 つ必要です。
COD オプションが必要となり、現在 COD CPU/メモリーボードがシステムに構成されていない場合は、購入先にご連絡いただき、COD CPU/メモリーボードを購入してください。購入先の販売担当者がサービス代理店と協力して、COD CPU/メモリーボードをお使いのシステムに取り付けいたします。
COD CPU 資源を使用するには、COD RTU ライセンスが必要です。COD のライセンスを取得するには、次のタスクを実行します。
COD 資源を使用できるようにするための COD RTU ライセンス証明書と COD RTU ライセンスキーを取得します。
COD RTU ライセンスは、購入先からいつでも購入することができます。次に、購入した COD 資源用のライセンスキーを Sun License Center から取得します。
COD RTU ライセンスキーを COD ライセンスデータベースに入力します。
COD 資源を使用できるようにするライセンスキーを、COD ライセンスデータベースに格納します。COD ライセンスデータベースには、addcodlicense(1M) コマンドを使用して、このライセンス情報を記録します。COD RTU はフローティングライセンスとみなされ、システムに取り付けられているどの COD CPU 資源に対しても使用可能です。
ライセンス取得タスクについての詳細は、COD RTU ライセンスキーを取得して COD データベースに追加するを参照してください。
COD オプションでは、購入した COD CPU/メモリーボード数と COD RTU ライセンス数によって使用できる COD CPU の個数が決まり、この個数の COD CPU を使用できるようにシステムが構成されます。取得した COD RTU ライセンスは、プールされた使用可能ライセンスの集まりとして扱われます。
COD CPU/メモリーボードが含まれているドメインを起動するか、動的再構成 (DR) 操作により COD CPU/メモリーボードがドメインに接続されると、以下の処理が自動的に実行されます。
COD RTU ライセンスは、「先着順」で CPU に割り当てられます。ただし、setupplatform(1M) コマンドを使用すると、特定の数の RTU ライセンスを特定のドメインに割り当てることができます。詳細は、インスタントアクセス CPU を使用可能にし、ドメイン RTU ライセンスを予約するを参照してください。
十分な数の COD RTU ライセンスがなく、ライセンスを COD CPU に割り当てられない場合には、その COD CPU はドメインに構成されず、ライセンスがないものとみなされます。ドメインに割り当てられてもアクティブでない COD CPU は、未使用とみなされます。
COD CPU/メモリーボードの COD CPU に対して必要な数の COD RTU がない場合は、setkeyswitch on 操作中に、システムによりその COD CPU/メモリーボードが使用不可となります。詳細と例については、構成解除された COD CPU とライセンスを受けていない COD CPUを参照してください。
DR 操作によってドメインから COD CPU/メモリーボードを使用不可にするか、COD CPU/メモリーボードが含まれているドメインが正常にシャットダウンされると、そのボード上の CPU に対する COD RTU ライセンスが解放されて、使用可能ライセンスのプールに追加されます。
showcodusage コマンドを使用すると、COD の使用状況と COD RTU ライセンスの状態を確認できます。COD 情報を表示する showcodusage などのコマンドについての詳細は、COD 資源の監視を参照してください。
注 - Sun Fire システム (Sun Fire 15K/E25K、12K/E20K、6800、4810、4800、および 3800 サーバー) 間で COD CPU/メモリーボードを移動することはできますが、そのボードに関連付けられているライセンスキーは購入時の元のプラットフォームに限定されているため、移転することはできません。 |
COD RTU ライセンスの購入プロセスが完了する前に COD CPU 資源が必要となった場合には、インスタント アクセス CPU (ヘッドルームとも呼ばれる) という限定された個数の資源を一時的に使用可能にすることができます。このインスタントアクセス CPU は、ライセンスのない COD CPU がシステムに取り付けられているならば使用できます。Sun Fire ハイエンドシステムで使用可能なインスタントアクセス CPU の最大数は 8 個です。
インスタントアクセス CPU は、デフォルトでは Sun Fire ハイエンドシステムで使用不可になっています。インスタントアクセス CPU を使用する場合は、setupplatform(1M) コマンドを使用してこれらの資源を起動します。使用するインスタントアクセス CPU (ヘッドルーム) の数が使用可能な COD ライセンス数を越えていることを通知する警告メッセージが、プラットフォームのコンソールにログとして表示されます。インスタントアクセス CPU 用の COD RTU ライセンスキーを取得して COD ライセンスデータベースに追加すると、この警告メッセージは表示されなくなります。
インスタントアクセス CPU の起動方法についての詳細は、インスタントアクセス CPU を使用可能にし、ドメイン RTU ライセンスを予約するを参照してください。
障害が発生した非 COD CPU を交換する際に、用意されているインスタントアクセス CPU を一時的に使用可能にすることができます。この場合、インスタントアクセス CPU は、ホットスペア (障害が発生した非 COD CPU の交換時にただちに使用可能なスペアの CPU) と見なされます。しかし、障害が発生した非 COD CPU の交換が終わったら、インスタントアクセス CPU を無効にする必要があります (インスタントアクセス CPU を使用可能にし、ドメイン RTU ライセンスを予約するを参照)。インスタントアクセス CPU を継続使用する場合は、購入先に連絡して、使用しているインスタントアクセス CPU の COD RTU ライセンスを購入してください。
インスタントアクセス CPU (ヘッドルーム) の起動やライセンス違反など、COD イベントの情報は、プラットフォームのログに記録され、showlogs コマンドを使用して表示することができます。
showcodusage(1M) コマンドなどのその他のコマンドは、COD コンポーネントと COD 構成に関する情報を提供します。COD の情報と状態を取得する方法についての詳細は、COD 資源の監視を参照してください。
Sun Fire ハイエンドシステムで COD を使用するには、事前に必要事項を完了しておく必要があります。必要事項には、以下のタスクが含まれています。
メインとスペア両方のシステムコントローラ (SC) に同じバージョンの SMS ソフトウェアをインストールする。
ソフトウェアのアップグレードについての詳細は、『System Management Services (SMS) 1.4.1 インストールマニュアル』を参照してください。
COD RTU ライセンスキーを取得して COD データベースに追加するの説明に従って、COD RTU ライセンス取得プロセスを実行する。
COD RTU ライセンス管理には、COD RTU ライセンスキーを取得して COD データベースに追加する作業が含まれます。また、必要に応じて、ライセンスデータベースから COD RTU ライセンスを削除することもできます。
COD RTU ライセンスキーを取得して COD データベースに追加する |
1. 購入先に連絡して、使用可能にする COD CPU ごとに COD RTU ライセンスを購入します。
購入した各 CPU ライセンスに対して、サンから COD RTU ライセンス証明書が送付されます。ライセンス証明書に貼付されている COD RTU ライセンスステッカーに、使用権シリアル番号が記載されています。COD RTU ライセンスキーを取得するときにこのシリアル番号を使用します。
2. Sun License Center に連絡し、以下の情報を提供して COD RTU ライセンスキーを取得します。
COD RTU ライセンス証明書のライセンスステッカーに記載されている COD RTU シリアル番号。
シャーシのホスト ID。この ID は、プラットフォームを一意に識別するものです。
シャーシのホスト ID は、プラットフォーム管理者として showplatform -p cod コマンドを実行すると入手できます。
Sun License Center への連絡方法については、受け取った COD RTU ライセンス証明書を参照するか、下記の Sun License Center の Web サイトで確認してください。
購入した COD 資源の RTU ライセンスキーが記載された電子メールメッセージが、Sun License Center から送信されます。
3. addcodlicense(1M) コマンドを使用して、このライセンスキーを COD ライセンスデータベースに追加します。SC ウィンドウで、プラットフォーム管理者としてログインし、以下のように入力します。
ここで、license-signature は、Sun License Center から割り当てられた完全な COD RTU ライセンスキーです。このライセンスキーの文字列を、Sun License Center から受信した電子メールからコピーすることもできます。
4. showcodlicense -r コマンドを実行して、指定したライセンスキーが COD ライセンスデータベースに追加されていることを確認します (COD ライセンス情報を表示するを参照)。
追加した COD RTU ライセンスキーが、showcodlicense(1M) コマンドの出力リストに表示されているはずです。
COD ライセンスデータベースから COD ライセンスキーを削除する |
1. SC ウィンドウで、プラットフォーム管理者としてログインし、以下のように入力します。
license-signature は、COD ライセンスデータベースから削除する完全な COD RTU ライセンスキーです。
システムでは、ライセンスの削除によって COD RTU ライセンス違反が発生しないことを確認します。使用中の COD 資源数に対して COD ライセンス数が足りない場合に、COD RTU ライセンス違反が発生します。ライセンスを削除すると COD RTU ライセンス違反が発生する場合は、SC ではライセンスキーを削除しません。
2. showcodlicense -r コマンドを実行して、ライセンスキーが COD ライセンスデータベースから削除されていることを確認します (次の手順を参照)。
削除されたライセンスキーは、showcodlicense コマンドの出力リストに表示されていないはずです。
COD ライセンス情報を表示する |
1. SC ウィンドウで、プラットフォーム管理者としてログインし、以下のいずれかを入力して COD ライセンス情報を表示します。
変換済み形式でライセンスデータを表示するには、次のように入力します。
sc0:sms-user:> showcodlicense Lic Tier Description Ver Expiration Count Status Cls Num Req ----------- --- ----------- ----- ------- --- --- --- PROC 01 NONE 16 GOOD 1 1 0 |
表 6-1 では、showcodlicense による出力の COD ライセンス情報について説明します。
未処理のライセンスキー形式でライセンスデータを表示するには、次のように入力します。
COD 資源のライセンスキーシグニチャーが表示されます。たとえば、次のメッセージが表示されます。
sc0:sms-user:> showcodlicense -r 01:5014936C37048:45135285:0201000000:8:00000000:0000000000000000000000 |
showcodlicense(1M) コマンドについての詳細は、『System Management Services (SMS) 1.4.1 リファレンスマニュアル』のコマンドの説明を参照してください。
インスタントアクセス CPU を起動し、特定のドメインに COD RTU ライセンスを割り当てるには、setupplatform コマンドを使用します。表 6-2 では、COD 資源を構成するときに使用できる setupplatform コマンドのオプションを説明します。
インスタントアクセス CPU (ヘッドルーム) を使用可能または使用不可にし、ドメインの COD RTU ライセンスを割り当てる |
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setupplatform コマンドのオプションについての詳細は、『System Management Services (SMS) 1.4.1 リファレンスマニュアル』のコマンドの説明を参照してください。
インスタントアクセス CPU を使用可能にし、ドメイン RTU ライセンスを予約する |
1. SC ウィンドウで、プラットフォーム管理者としてログインし、以下のように入力します。
COD パラメタ (ヘッドルーム数とドメイン RTU 情報) を入力するようプロンプトが表示されます。たとえば、次のメッセージが表示されます。
表示されるプロンプトについて、以下のことに注意してください。
インスタントアクセス CPU (ヘッドルーム) 数
括弧内のテキストは、インスタントアクセス CPU (ヘッドルーム) の最大許容数を示しています。角括弧内の数値は、現在構成されているインスタントアクセス CPU 数です。
インスタントアクセス CPU (ヘッドルーム) 機能を使用不可にするには、0 を入力します。ヘッドルーム数を使用不可にできるのは、使用されているインスタントアクセス CPU がないときのみです。
ドメインの予約
括弧内のテキストは、ドメイン用に予約可能な最大 RTU ライセンス数を示しています。角括弧内の数値は、現在ドメインに割り当てられている RTU ライセンス数です。
2. showplatform(1M) コマンドを実行して、COD 資源の構成を確認します。
注 - シャーシのホスト ID は、COD ライセンスを取得するために使用されます。シャーシのホスト ID が UNKNOWN と表示された場合は、センタープレーンサポートボードの電源を入れて、シャーシのホスト ID を入手する必要があります。この場合、電源投入後 1 分間ほど待ってから、showplatform コマンドを再実行し、シャーシのホスト ID を表示してください。 |
ここでは、COD 資源の使用状況を追跡し、COD 情報を入手するさまざまな方法について説明します。
showboards(1M) コマンドを使用すると、システムのどの CPU/メモリーボードが COD ボードであるかを判定することができます。
1. SC ウィンドウで、プラットフォーム管理者としてログインし、以下のように入力します。
表示される情報には、ボードの割り当てとテスト状態が示されます。COD CPU ボードは、CPU (COD) と表示されます。
COD 資源がシステムでどのように使用されているか情報を取得するには、showcodusage(1M) コマンドを使用します。
1. SC ウィンドウで、プラットフォーム管理者としてログインし、以下のように入力します。
sc0:sms-user:> showcodusage -p resource Resource: ========= Resource In Use Installed Licensed Status ---------- ------ --------- -------- ------ PROC 4 12 12 OK:8 available |
表 6-3 では、showcodusage(1M) コマンドを使用して表示した COD 資源の情報について説明します。
1. SC ウィンドウで、プラットフォーム管理者またはドメイン管理者としてログインし、以下のように入力します。
出力結果には、すべてのドメインの CPU の状態が含まれています。たとえば、次のメッセージが表示されます。
表 6-4では、ドメインごとに表示した COD 資源の情報について説明します。
各ドメインの COD 資源 (プロセッサ)。未使用プロセッサは、まだドメインに割り当てられていなかった COD CPU である。 |
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1. SC ウィンドウで、プラットフォーム管理者としてログインし、以下のように入力します。
表示される情報には、資源とドメインそれぞれについての使用状況情報が含まれています。たとえば、次のメッセージが表示されます。
COD CPU/メモリーボードを使用するドメインを起動した場合、COD RTU ライセンスを取得できない COD CPU は、構成解除された CPU、またはライセンスのない CPU として表示されます。次の項目を表示すると、構成解除された COD CPU やライセンスのない COD CPU を判定することができます。
setkeyswitch on 操作でのメッセージの出力
COD RTU ライセンスを取得しなかった COD CPU は、構成解除された (deconfigured) CPU として表示されます。COD CPU/メモリーボード上の COD CPU がすべて構成解除されている場合は、setkeyswitch on 操作が COD CPU/メモリーボードを使用不可にし、setkeyswitch on 操作も次の例に示すように失敗します。
showcodusage(1M) コマンドの出力
ドメインの COD CPU の状態を取得する場合は、ドメインごとに COD 使用状況を表示するを参照してください。Unlicensed 状態は、COD CPU に対する COD RTU ライセンスが取得できず、その COD CPU はドメインで使用されていないことを示しています。
表 6-5 では、その他のシステムコントローラコマンドを使用して取得できる COD の構成とイベントの情報をまとめています。これらのコマンドについての詳細は、『System Management Services (SMS) 1.4.1 リファレンスマニュアル』の説明を参照してください。
ライセンス違反やヘッドルームの起動など、プラットフォーム コンソールにログとして記録される COD イベントについての情報を表示する |
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